新編・伊勢物語 第千五百四十九段 病窓より見遣る水張田 星原二郎第千五百四十九段 病窓より見遣る水張田 昔、男ありけり。今も男あり。 その男 令和二年六月上旬 体調を崩し、隣接の刈谷市総合病院に 救急入院し三日目の朝を迎へ 病窓より東側を見遣れば 田植えすみたるばかりの水張田 鏡となりゐたれば 歌を 水張田は 鏡となりて 写しゐる 澄みたる空の わが心なれ と詠み 己が運命と健康を主治医と 運命に任せ観念せししかば 晴れ渡りたる皐月の空の如き心境となりたり。