第千四百九十九段 鳥の歌【信天翁】
昔、男ありけり。今も男あり。
その男 令和二年三月十五日発行の
立春知立短歌会の季刊誌の第270号に
『鳥の歌』と題して連作十八首を発表し
評価を世に問ひけり。
其の拾参首目は
小笠原 諸島にかつて 幾万の
信天翁(あはうどり)ゐて いま数十羽
歌の心は‥
国の天然記念物でもある信天翁は
その羽毛目当ての乱獲につぐ乱獲にて
絶滅せしと久しく言はれたれども
奇跡的に人の行くことが出来ぬ断崖絶壁に
巣を作り数羽の生存が確認されしは
遠き日のことならず。
その後、関係者の懸命なる努力の結果
数を回復途上にある鳥類なり。
乱獲せし人々に対する怒りの歌なり。