第千四百九十段 鳥の歌【梅に鶯】
昔、男ありけり。今も男あり。
その男 令和二年三月十五日発行の
立春知立短歌会の季刊誌の第270号に
『鳥の歌』と題して連作十八首を発表し
評価を世に問ひけり。
其の肆首目は
奥三河 川売(かおれ)の里は 梅盛り
枝に鶯 留(とど)まりて鳴く
歌の心は‥
三河の国は新城市の山里に川売(かおれ)とぞいふ
集落あり。其の地は知る人ぞ知る梅の里にて
毎年の早春ともなると数百本の梅に木に花が一斉に咲き
まさに桃源郷ならぬ梅源郷となり賑はふ地なり。
其の男も梅の開花の便りに誘はれて
探梅に行きたる折の作なり。
下の句は古来より付き物の梅と鶯の
取り合はせに僥倖の作なり。