第千四百三十一段 新春歌合せ会の【恋の歌】
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和二年二月一日
美濃の国は郡上市大和にある
古今伝授の里フィールドミュージアムにて開催の
新春歌合せ会の【恋の歌】の部にかねて提出の
折鶴の イヤリング似合ふ 人の横
座りて今日の 出会ひ嬉しも
にて白組として五番目の勝負に臨みけり。
その男の作に対する紅組の歌は
サヨナラを 言うためだけに 会いに行く
瀬戸内レモンの 香を忍ばせて
にて白組の念人は地元に近い岐阜県揖斐郡池田町の
代表的歌人のO女史
激しき論戦の後、十四名の判者の下したる
判定は九対五にて白組の勝ちとなりけり。
まづはめでたし めだたし にて
歌舞伎「三人吉三廓初買」の名科白
「こいつぁ春から縁起がいいわぇ」を
真似て呟きけり。