第千四百二十八段 豪栄道の引退
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和二年一月二十九日
大相撲の豪栄道の引退を知り
花束贈呈の代はりに歌を
大関の 豪栄道の 引退の
潔きをば 惜しめど愛(い)しぞ
と詠み贈りけり。
※結句の【愛(い)し】とは
「良い、好ましい、見事である」などの
意味の古き大和言葉なり。
平安時代になり女房言葉の「お」が付き
「おいし」となり、更に時代が下り
語尾に「い」が付き「おいしい(美味しい)」となり
現代においては専ら食べ物を褒め讃へる折の言葉となりたり。
されど本来は多様なる場面に於いて用いられたる言葉なり。
而して歌の心は豪栄道に対して、労ひの思ひなり。
今後は彼がなれなかった横綱を育てむとの願ひ
応援を惜しまざりけり。
大関在位三十三場所、歴代十番の長きに亘る活躍
お疲れ様でした。