第千四百二十二段 苦虫を嚙み潰した顔にて珈琲を飲む男
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和二年一月下旬の或る日
いつものやうにモーニング珈琲を
行きつけの喫茶店へと行くと
いつものやうにいつもの席にて
モーニング珈琲を飲みつつスポーツ新聞を
読みゐる男ゐれば
歌を
苦虫を 嚙み潰したる 顔をして
珈琲飲みゐる 男とよく遇ふ
と詠み 言葉を交はす訳でもなく
人生、何も楽しみは無しといふが如く
ゐる男を哀れとも思ひつつ
他山の石とすべしと自らを戒めけり。