第千三百五十二段 此の上なき人
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和元年十一月上旬の或る日
惚れたる女人ありければ
其の想ひを歌に詠みて
曰く
此の上は なしと知れかし われにとり
過ぎたるひとの 君なりしかな
英語が我が国に入りたる初期の頃
キリスト教の博愛の概念を知り得ぬ当時の
通訳は「アイラブユー」を
「私の大切な人」と翻訳せしとぞ伝はりけり。
つまり「ラブ」は「大切」と解釈と覚ゆ。
或る意味で名訳なり。
大切な人がゐることの自覚より
生またる作なり。