新編・伊勢物語 第千二百八十七段 四万川の甌穴群 星原二郎第千二百八十七段 四万川の甌穴群 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、令和元年八月の或る日 惚れたる女ありければ伴ひて 上州は万座温泉をあとにして 二泊目の目的地の四万温泉へと向かひけり。 四万温泉は四万の病ひに薬効のあらたかなる 湯の質にして四万川沿ひの温泉地なり。 行く途中、国の天然記念物の四万川の甌穴群を 見やりて歌を 四万川の 幾万年の 営みに 生(あ)れたる甌穴 育ちつつあり と詠み 予約済の宿の やまぐち館へと向ひけり。