新編・伊勢物語 第千二百八十二段 爪の垢を煎じて飲む歌 星原二郎第千二百八十二段 爪の垢を煎じて飲む歌 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、令和元年八月の或る日 恒例の夏の温泉旅行に行く 友と打合せのために会ひその友の 人柄、気配り上手に敬意を表し 歌を 思ひ遣りの 心に欠ける われなれば 友の爪の垢 煎じて飲まむ と詠み 年下なれども尊敬の念を深めけり。 而して、「思ひ遣りの心に欠ける」とは いささか謙遜なりとぞ覚ゆ。