第千百七十七段 人麻呂の鴨山を探して
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成三十一年四月二十九日
三河の国は蒲郡での第34回蒲俊成短歌大会に
次の作品
人麻呂の 鴨山いづこ 石見路を
時雨降る中 問ひ続けゆく
を事前に提出し臨みけり。
歌の心はその男の考へる和歌・短歌の
長き歴史の中で膨大なる数量の作品あれども
史上一位の名歌と思ふ
歌聖とも称される柿本人麻呂の万葉集巻第二の二二三番の
「鴨山の岩根し枕けるわれをかも 知らにと妹が待ちつつあらむ」
の歌の場所を探して石見の国をさまよふが如く
歩き廻りし昨年の晩秋を詠みたる作なり。
而して、選者の眼鏡に適はず
悔しき思ひをいだき会場を去りけり。