新編・伊勢物語 第千百七十五段 会ひたる人の名前を 星原二郎第千百七十五段 会ひたる人の名前を 昔、男ありけり。今も男あり。 その男平成三十一年四月の或る日 或る会合に参加し、久しぶりに会ひたる人 初めて会ひたる人などなどの 名前に思ひを寄せて 歌を 日に多く 人に会へども 人の名を 覚えずなりて 老いにけらしも と詠み 間違へて呼ぶのは失礼なりと 思へば差し障りなき会話を交はし その場を凌ぎければ いささか寂しき思ひを抱き 会場を去りけり。