新編・伊勢物語 第千百七十四段 夕焼けに空襲を思ふ 星原二郎第千百七十四段 夕焼けに空襲を思ふ 昔、男ありけり。今も男あり。 その男平成三十一年四月の或る日 歌の仲間の九十代の女性に 戦争当時の話を聞き 歌を 遠き日の 空襲いまだ 思ふゆゑ 夕焼け空を 厭ふと媼は と 詠み 三つ子の魂百まで ではないが 幼年期の怖ろしき経験は トラウマとなり その生涯に及ぶと 知らされにけり。