第千百六十六段 花粉症の原因に対する怒り
昔、男ありけり。今も男あり。
その男平成三十一年三月
突然に花粉症を発病し
四月となりいよいよ悪化し
つひに耳鼻咽喉科を受診し
処方されたる薬を服用せしが
症状は改善に至らねば
歌を
犯人は 杉の花粉ぞ 誰が植ゑし
杉の所為にや 怒り心頭
と詠み 戦後の荒廃から復興期にかけて
大量に植林されたる事の過ちを糾弾の声を挙げけり。
この事は良かれと思ひ計画され実行されし事柄が
後年 思はぬ事態を招く事 往々にしてあれど
その最悪の事例とぞ覚ゆ。
自然界の調和を乱したる人間の浅知恵に対する
自然界からの重き罰則と受け止めるべしにや。
また花粉を出さぬ杉の開発も進められゐるとの事
五十年後、百年後の様相をよくよく予測するべし。
しかしてその想定外を想像するべとぞ覚ゆ。