新編・伊勢物語 第千百二十段 渡り鳥にわが身の進みゆく道を思ふ歌 星原二郎第千百二十段 渡り鳥にわが身の進みゆく道を思ふ歌 昔、男ありけり。今も男あり。 その男 平成三十一年の二月 矢作川中流域にある笹戸温泉の 「とうふや」へと行き 湯につかりつつ矢作川の 流れを眺めゐたれば 早くも 渡り鳥 北へ向かふを見やりて 歌を 迷ひなく 海を越えゆく 渡り鳥 われはわが道 進みゆくのみ と詠み 松尾芭蕉翁のいふ 「無能無才にして一筋の道」 なる敷島の道を進みゆく覚悟を 改めて自覚し湯から出でにけり。