新編・伊勢物語 第千百十九段 世の中の多くの出来事 星原二郎第千百十九段 世の中の多くの出来事 昔、男ありけり。今も男あり。 その男 平成三十一年の二月 矢作川中流域にある笹戸温泉の 「とうふや」へと行き 湯につかりつつ矢作川の 流れを眺めて 更に続けて歌を 一を聞き 十知り得ねど 世の中の 多(さは)の出来事 知らずともよし と詠み 冬なれば水量少なく 澄みゐたる矢作川に 日本を代表する随筆「方丈記」の著者である 鴨長明の隠棲 つまり世捨て人の生きざまに 憧れに似たる思ひをいだきけり。