新編・伊勢物語 第千百十八段 世の外にわが身を置きて 星原二郎第千百十八段 世の外にわが身を置きて 昔、男ありけり。今も男あり。 その男 平成三十一年の二月 矢作川中流域にある笹戸温泉の 「とうふや」へと行き 湯につかりつつ矢作川の 流れを眺めて 更に歌を 人の世の 外にわが身を 置きて見れば 此の世の出来事 何ぞ儚き と詠み 冬なれば水量少なく 澄みゐたる矢作川に 鴨長明の名著の「方丈記」の途中の一節の 「よどみに浮かぶ泡沫はかつ消え かつ結びて とどまる事を知らず…」 を思い出しけり。