新編・伊勢物語 第千百十一段 蕗の薹 星原二郎第千百十一段 蕗の薹 昔、男ありけり。今も男あり。 その男平成三十一年二月九日 奥三河の東栄町の息子宅にて 月遅れの新年会に臨みけり。 宴会にてまづ出できし料理は 近くの野にて顔を出したる蕗の薹にて 舌鼓を打ち歌を 蕗の薹 摘みて湯掻きて 刻み和へ 今宵の宴 苦味が主役 と詠み 古来より春の味覚と云へば苦味なりしかば 存分に堪能し 越後の国の銘酒「越の寒梅」の 杯を重ねけり。