第千百九段 鴨蕎麦
昔、男ありけり。今も男あり。
その男平成三十一年二月の中旬
冬の味覚の一つ鴨蕎麦を
いただき歌を
鴨蕎麦や 通ひはじめて 四十年
「天手古舞」の 変はらぬ味ぞ
と詠み その男の二十代の半ば頃より
味に惚れこみ 特に冬には無性に食べたくなる
事に逆らはず行きけり。
因みに一流の料理人とは
美味なる料理を作ることに非ず
何時如何なる時に於いても
同じ味に仕上げる事 との認識を
その男に知らしめたる店なり。
美味い、不味いは十人十色とは蕎麦屋の言葉
更に店構へ、店主、店員、価格も
変はらねば何をや言はむ。