新編・伊勢物語 第千百段 夢の歌 星原二郎第千百段 夢の歌 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年二月の或る日 夜中に歌を詠みたる夢を見て 其の事を歌に詠みて曰く 夢路にて 歌詠みしかど 朝起きて 書かむとすれど 思ひ出ださぬ 夢路にて詠みたる歌の内容は全く思ひ出ださねども 歌を詠みたるとぞいふ記憶のみ残れば 悔しさ限りなり。 いっそう全て忘れるか、克明に記憶に残るか すればよきのもをとぞ覚ゆ。 然れども其が夢の夢たる由縁にや。