第千九十一段 友の奥津城
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成三十一年一月二十六日の
刈谷文化協会の短歌部会の月例歌会に
次の作
寒からむ 寂しからむと 思ほへば
小谷行きたし 友の奥津城
を事前に提出し臨みけり。
この友とは十年前に喉頭癌にて
五十六歳の若さにて世を去りたる同級生
山岸幸夫を悼み偲んでの作なり。
小谷とは勿論、信州は北安曇郡小谷村のことにて
墓は更に雪深き地の新潟県糸魚川市大岩より
山奥の平家落人伝説の地の大所にて
雪解けは五月の連休明け頃の豪雪地帯なり。
しかして、歌会での評価は全二十一首中で
七点を得て五位となりけり。
平成最後の刈谷市での新年歌会なれば
幸先よきとぞ覚ゆ。