新編・伊勢物語 第千八十七段 盆梅の花 星原二郎第千八十七段 盆梅の花 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年一月 近江の国は長浜へ盆梅展を観に行き 歌を 老いてなほ 凛と生きよと 諭さるる 幹は枯れつつ 盆梅の花 と詠み 丹精のなせる技の 見事さに感嘆の声を上げけり。 日本人文化論の名著の「菊と刀」 ではないが、梅の開花に秘術の限りを 尽くす人々のなほ多くゐる事を 肯ひにけり。