第千七十四段 松尾芭蕉翁の遺せし言葉
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成三十一年一月十日の
立春知立短歌会の月例歌会に
次の作
蕉翁は 「昨日のわれに 飽く」と日日
革新唱ふ 恐るべき才
を事前に提出し臨みけり。
松尾芭蕉翁はその生涯に多くの俳句を遺し
俳聖とも慕われてゐる存在にして
創作に関はる多くの名言も遺せり。
「昨日のわれに飽く」もその中の一つにて
彼の俳句のスタイルは軽み、侘び、さびなど
多くの変転を経るのだがその都度
それまでのスタイルから脱し新たなる《蕉風》を
模索する姿勢を表す言葉にして
驚くべき才、つまり才能を讃へての歌なり。
しかして、歌会での評価は新年歌会にして
新年らしからぬ歌なれば低き得点に留まりけり。