新編・伊勢物語 第千七十五段 柚子を二ついただき 星原二郎第千七十五段 柚子を二ついただき 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十一年一月 ご近所さんより 柚子をお裾分けといただきければ 歌を 柚子二つ たまはりしかば すなわちに 一つ供へて 一つ浮かべぬ と詠みけり。 供へてとは勿論、仏壇であり 浮かべてとは湯船であり 冬至の日に入るが習ひなれども 約半月遅れの柚子風呂を楽しみ 紅洋作の俳句 「足るを知る 身の幸せの 柚子湯かな」 を口ずさみけり。