新編・伊勢物語 第千五十四段 越後時雨 星原二郎第千五十四段 越後時雨 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年の晩秋 越後は村上へと一人行きけり。 行きて歌を 越後路や 越後時雨と 気取りゆく 旅の情(こころ)は いやまさりつつ と詠み さすらひにあらねども 孤独感をいだいきつつ なほも旅を続けけり。