第千四十八段 長歌 荒川豊蔵資料館を訪ねて(前半)
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成三十年十一月十五日発行の
立春知立短歌会の機関紙『立春』260号に
「長歌 荒川豊蔵資料館を訪ねて」を発表し
評価を世に問ひけり。
作品は
長歌 荒川豊蔵資料館を訪ねて
百岐年の 美濃の国は 可児市なる 久々利柿下 入会に
明治生まれの 陶芸家荒川豊蔵 住まひせし 窯場と轆轤の
作業小屋 今に遺れる 資料館 一人し行きぬ
そもそもは 作陶の地に 作陶の 子として生まれ長じては
親より継ぎたる 血に目覚め 魯山人大人の 薫陶を
鎌倉に受け 辞してより この地に住まひ 志野織部
技をし磨き 一筋に 道を極めて 人間の 国宝となり
なほをもて 求め続けて 終の日の 来るその日まで
棲家とせしは 嗚呼此処なりき
※ 第千四十九段に続く