新編・伊勢物語 第千二十六段 上高地の温泉宿 星原二郎第千二十六段 上高地の温泉宿 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年の秋深まる頃、上高地へと 行きけり。行きて歌を くつきりと 穂高稜線 空に描き 秋晴れすがしき 上高地かな 赤々と 穂高のいただき 染めあげて 朝日は今し 昇り来るなり と、詠み 梓川に架かる河童橋を渡り 清清しき山の空気を胸いっぱい吸ひ込みけり。