新編・伊勢物語 第千二十四段 歩きスマホ 星原二郎第千二十四段 歩きスマホ 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年の秋の或る日 街中を歩きつつ 行き交ふ人を見やりつつ 歌を 歩みつつ 煙草喫(す)ひつつ 音楽を 聴きつつスマホ 操作する人 と詠み 器用なる若者を見送りけり。 因みにその男、スマホ中毒にあらざれば 冷ややかなる眼をもて、これも現代の世相と 思ひ眺めけり。