新編・伊勢物語 第九百六十四段 マラソンランナーの死 星原二郎第九百六十四段 マラソンランナーの死 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年の夏 マラソンを趣味とする友ありて その友の訃報に接しけり。 しかしてその死に様を聞き及び 歌を マラソンの ゴール直後に 倒れては 逝きたる友よ 浄土に至れ と詠み悲しみ 嘆きけれど 駆け足にて極楽浄土へと逝きたると 思ひはなむけの挽歌とし 冥福を祈りけり。