新編・伊勢物語 第九百五十二段 退職の春を思ひて 星原二郎第九百五十二段 退職の春を思ひて 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年八月 かって堅気の会社に勤務せし頃 退職を決意し 歌を 鴛鴦(をしどり)の 浮世の事は 忘ればや 職退く春は 鳥とならむよ と詠みたる事を思ひ出しけり。 鴛鴦の‥は 浮世に掛かる枕言葉にて 退職し短歌を詠みて日々を過ごさむ との童謡のカナリヤの心境にて 詠みたる事を懐かしく思ひ出しけり。