新編・伊勢物語 第九百三十六段 蜃気楼 星原二郎第九百三十六段 蜃気楼 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年七月 越中富山は魚津の海岸に 蜃気楼 見らるる季節と思ひければ 歌を 北陸の 海の彼方に 蜃気楼 見ゆとふ魚津 行きたかりけり と詠みいつの日か、蜃気楼なるもの この眼もて、一度は見むため 行かむと強く願ひけり。