第九百段 歌友の遺歌集
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成三十年六月十四日の
立春知立短歌会の月例歌会に
前もって次の歌
思ひ出は 多くなけれど 『天空に』
読めば浮かび来 やさしき笑顔
を提出し臨みけり。
『天空に』は平成二十九年五月二十五日
逝去された成瀬つた子様の一周忌を前に
出版されたる遺歌集の書名なり。
その男との交流は数年にして
浅けれども 深く悼みての作なり。
供養とは「その人を忘れぬ事」とは
その男の歌の師匠の遺したる言葉にて
思ひ出しけり。
しかして、歌会での評価は
残念ながら一票のみの得点なれども
故・成瀬つた子様の思ひ出を
詠みたる事には満足を覚えけり。