新編・伊勢物語 第八百七十七段 トワイライト・エクスプレスの旅 星原二郎第八百七十七段 トワイライト・エクスプレスの旅 昔、男ありけり。 今も男あり。 その男、平成の或る年 JRの人気夜行特急トワイライト・エクスプレスの 旅の誘ひを受け行きけり。 大阪駅まで行き、乗車し歌を 日本海に 沈む夕日を 車窓より 眺めて飲まなと 誘ひ受けたり 大阪発 札幌行きの 特急の 二十一時間 千五百キロの旅 移りゆく 窓の景色を ながめつつ 飲みつ語りつ 友との旅は と 詠みしかど 夕日の時刻を前に 酔ひ潰れ目的は叶はざりけり。