新編・伊勢物語 第八百七十八段 北海道にて(前半) 星原二郎第八百七十八段 北海道にて(前半) 昔、男ありけり。 今も男あり。 その男、平成の或る年 北海道の大地を久しぶりに踏みけり。 清清しき空気を胸に吸ひ込み 歌を 牧場に 朝霧流れ 人影は 見えねど馬の 影うごきたり 大き木の ニセアカシアの 花かをる 北の大地の はつなつの空 観世音の うしろすがたに 似たる岩 積丹の海の 沖に見ゆるも