第八百六十七段 田沢温泉の有乳湯
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成三十年五月上澣
信州は小県郡青木村にある
田沢温泉へと行きけり。
田沢温泉はかの酒吞童子を退治したる
源頼光の四天王のひとり 坂田金時こと
幼名 金太郎をこの地にて山姥が生みたる
との伝説の地にて
また子のなき女人三十七日
乳の少なき女人二十七日
湯浴めば湯効 灼とぞいへり。
さればその男、湯浴みて歌を
里人の 人情も湯も あたたかき
田沢の有乳湯 ゆるゆるひたる
と詠み 里人と一期一会の
はだかの交流を楽しみけり。