第八百四十七段 八百年燃え継ぐ火群
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成三十年四月
奥飛騨温泉郷の一つである
新平湯温泉の「百姓座敷の宿 藤屋」へと
惚れたる女人あらば、伴ひ行きけり。
行きてその宿の名物である
磨墨の里の八百年の間、消えることなく
燃え続けたる火を譲り受けたる囲炉裏辺に
座り歌を
拝火教の 信者ならねど 八百年
燃え継ぐ火群 見入り飽かざる
と詠み八百年前といへば
源氏と平家が争ひを繰り広げし頃なれば
永き年月に思ひを馳せけり。
ちなみに拝火教とは、火を神聖なるものとして
崇拝するゾロアスター教などの信仰の称。