新編・伊勢物語 第八百四十四段 ホテル浦島の忘帰洞 星原二郎第八百四十四段 ホテル浦島の忘帰洞 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年の春、紀伊の国は紀伊勝浦の 巨大なるホテル「浦島」へと 行きけり。 行きて名物の波打ち際の温泉に入り 歌を 勝浦の ホテル浦島 忘帰洞 潮の湯浴みの 心地こそすれ と詠み 熊野灘の波のうねりの躍動感 太古より変はらぬ潮騒のリズムを聞きつつ 紀州徳川家の殿の「帰る事を忘るるが如き 良き湯なり」に拠り 「忘帰洞」とぞ名付けられたる由 ただただ頷くばかりの名湯とぞ覚えけり。