新編・伊勢物語 第八百三十一段 蕎麦の店「拘留孫」 星原二郎 第八百三十一段 蕎麦の店「拘留孫」 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年の春 伊勢の国はいなべ市にある 農業公園の梅まつりに行きての後 拘留孫(くるそん)岳の麓にある蕎麦の 山里乃蕎麦家「拘留孫(くるそん)」へと行きけり。 行きて自慢の蕎麦を所望し 歌を 古民家の 縁側温(ぬく)く 拘留孫岳 見遣りつつ食(は)む 笊の蕎麦かな と詠み 約一時間近く待たされしかど 待たされし甲斐ある蕎麦と頷き手繰りけり。