新編・伊勢物語 第八百八段 吉良にて塩を焼き生涯を過ごしし男 星原二郎第八百八段 吉良にて塩を焼き生涯を過ごしし男 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年三月八日発行の 短歌誌「立春262号」に連作『塩を』を 発表し世に問ひけり。 連作の三首目は 生業(なりはひ)と 塩焼く一代(ひとよ) 身はやつれ 得たる実入りは 何に消えけむ 歌の心は昨年の秋に 西尾市吉良にある塩田体験館「吉良饗庭塩の里」にて 館長より製塩の過酷なる作業の歴史の説明を 受けての作なり。 江戸っ子気質にあらねども、宵越しの銭は 持たず 多くは遊びに消えたるとぞ。