新編・伊勢物語 第八百七段 海人の吉良の男 星原二郎第八百七段 海人の吉良の男 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年三月八日発行の 短歌誌「立春262号」に連作『塩を』を 発表し世に問ひけり。 連作の二首目は 海人(あまびと)の 吉良の男(をのこ)の かなしけれ 塩焼き窶(やつ)れし 写真(うつしゑ)のこす 歌は昨年の秋 西尾市吉良にある塩田体験館「吉良饗庭塩の里」にて 製塩の歴史のパネルの写真を拝見しての作なり。 真っ黒に日焼けしたる塩作りの職人の 明治の頃のことと覚ゆ。