新編・伊勢物語 第六百九十一段 豊穣のビーナス 星原二郎第六百九十一段 豊穣のビーナス 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、かって妻子あり。 鰥夫(やもを)となりて久しき頃 仲良き日日を思ひ出(い)で 歌を 太りしと 嘆かふ妻の 裸みて 豊穣のビーナスと 讃へしことあり と 詠み懐かしみけり。