新編・伊勢物語 第七百七十六段 奈気木神社(前編) 星原二郎第七百七十六段 奈気木神社(前編) 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、我が国の障害者の最初ともいへる 蛭子神を祀る奈気木神社 へと行き歌を 葦船に 乗せられ蛭子は 天降(あもり)川を 下りてこの地に 流れ着きしと 今われも 天降川沿ひの このいで湯 斎く思ひに 浸らむとする 蛭子はや 姫御子なりや 淡島は とりとめなきを 思ひつつ浸る