第七百二十五段 四字熟語の愛別離苦の歌
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成二十九年十二月十四日
短歌誌「立春261号」に連作『四字熟語』を
発表し世に問ひけり。
連作の三首目は
世の常の 愛別離苦の 理を
しじにいで湯の 白骨の秋
愛別離苦とは仏教用語にて、親・兄弟・妻子など
愛する者との生別・死別する苦しみにて、八苦のひとつ。
逆の言葉は「怨憎会苦」、つまり怨み憎む者とは
必ず会ふといふ、八苦のひとつ。
「しじに」とは漢字では「繁」にて、隙間のなき事、ぎっしりにて、
この歌の場合は「いやといふほど」の意。
白骨は信州の白骨温泉の事なり。
その男、人生の悲哀を感じ白骨温泉へ行きたる
折の感慨を詠みたる作なり。