第七百二十二段 四字熟語の三聖吸酸の歌
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成二十九年十二月十四日
短歌誌「立春261号」に連作『四字熟語』を
発表し世に問ひけり。
連作の一首目は
真実は 三聖吸酸の 故事のごと
いつの世なれど 変はらざりけり
※「三聖吸酸」とは三人の聖人つまり
儒教の蘇軾、道教の黄庭堅、仏教の仏印禅師が
桃花酸といふ名の酢を舐め、三人が三人とも
顔をしかめ「酸っぱさ」を口にせし故事のことなり。
つまり思想も宗教も異なれども、酢がすっぱきことは
共通の真理であるといふなり。
儒教の孔子、道教の老子、仏教の釈迦をいふ事もあり。
してその男も自宅台所にあるミツカン酢の
「米酢」を舐めたる折はやはり
「酸っぱさ」を口にせししかば
「三聖吸酸」ならず「四聖吸酸」が
正しいのではと思ひ上がり驕りけり。