新編・伊勢物語 第六百九十六段 友の逝去を悼みて詠める挽歌(中編) 星原二郎第六百九十六段 友の逝去を悼みて詠める挽歌(中篇) 若き日の 写真(うつしゑ)に笑む 君前に 「何(な)故(ぜ)に何故に」と 問ふばかりなる 愛(は)し妻に いやはて掛けし 言葉とふ 「ありがたう」とに 涙溢るる 良き奴と 友ら皆いふ 君にして 早き別れは 悲しき極(きは)み 肉体(ししむら)ゆ 君がみ魂(たま)は 離れしか 別れの御酒(みき)を 今ぞ捧げむ 初孫(うひまご)を 得たる喜び 束の間に 抱くこともせで 君逝(ゆ)き給ふ