新編・伊勢物語 第六百七十三段 大旅籠の柏屋にて 星原二郎 | isemonogatari2のブログ

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第六百七十三段 大旅籠の柏屋にて

 

昔、男ありけり。今も男あり。

その男、平成二十九年十月

駿河の国の東海道五十三次の二十一番目の宿場の

岡部宿の大旅籠の柏屋へと行きけり。

行きて歌を

 

江戸の代の 岡部の宿の にぎはひも

今は昔と 静かなる町

 

江戸の代の 暑さ寒さを 防ぐ技

蔀戸の知恵 頷き聞きつ

 

筧より 落つる水滴 甕に受け

水琴窟の さやかなる音

 

竹筒に 耳を当て聴く 水琴窟

庭師の技を 誉めざらめやも

 

ゆるゆると 寛ぐ殿の おん姿

偲ばせ広き 本陣跡地

 

と詠みかつては東海道五十三次の内でも

屈指の規模を誇りたる

昔日の繁栄の様子に思ひを馳せ

長き間 佇み続けけり。