新編・伊勢物語 第六百六十九段 久延寺にて一豊と家康の対面 星原二郎第六百六十九段 久延寺にて一豊と家康の対面 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十九年十月 駿河の国は茶畑の続く掛川の小夜鹿にある真言宗の 古刹 久延寺を参り掛川の城主となりゐたる 山内一豊と徳川家康との対面に思ひを馳せ 歌を 掛川の 茶をもて家康を もてなしし 一豊彼の日 何思ひつつ と詠み わづかの隙あらば家康を亡き者にせむとの 思ひを抱(いだ)きゐし若き日の一豊公の心中を 慮(おもんばか)りけり。