新編・伊勢物語 第六百六十三段 三河の国分尼寺(前編) 星原二郎第六百六十三段 三河の国分尼寺(前編) 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十九年の中秋の頃 三河は豊川の「三河国国分尼寺跡史跡公園」へと 行きけり。 行きて歌を うら若き 十人(とたり)の乙女 如何ならむ 日日過ごししや 国分尼寺に うら若く 聡(さと)き乙女ら 十人(とたり)とふ 国分尼寺址 秋の日に栄(は)ゆ 恋を棄て 若き身なれや 仏道の 修行に勤(いそ)しむ 明け暮れ浮かぶ