第六百四十九段 弥勒への道(其の参)
馬手に持つ 如意棒あらば 悟空にも
似て勇みゆく 若くあらねど
いにしへの 玄奘三蔵の 遥かなる
旅の願ひを 胸に蔵ひて
地母神に 別れを告げつ 妣の国
あとにい向かふ 襤褸苦にせず
識閾は 既に分かたず 逡巡を
持たねば向かふ 悉皆浄土
途すがら 迦稜頻伽を 耳にして
導かれすでに われならなくに
※因みに【迦陵頻伽】を聡明なる読者子なれば
ご存知の事と思へど、敢へて説明させていただくと
仏教語にて雪山または極楽にゐるといふ想像上の鳥。
別名を歌羅頻伽、迦鳥、頻伽鳥ともいひ
仏法の真理を美妙なる鳴き声にて歌ひあげ
聞けども聞けども、決して聞き飽きる事が無いといふ。
人頭にて鳥身の姿なりとぞ。