新編・伊勢物語 第六百五十段 弥勒への道(其の肆) 星原二郎第六百五十段 弥勒への道(其の肆) 釈迦牟尼の 拈華微笑(ねんげみせう)の 謎を追ひ 誘(いざな)はれゆく 霊鷲山山麓 折からの 慈悲心鳥の 鳴き声を みこゑと聴きて 導かれゆく 傍らに 迅(と)く飛び来るは 阿修羅殿 別れの挨拶 今ぞ交さむ 渡りゆく 鳥が銜(くは)ふるは 霊(たま)にして 韃靼はるか 向ふは西か 烏鵲(うじゃく)橋(けう) 渡ればつひに 涯知らぬ 縹渺(へうべう)の宙(そら) 赫焉(かくえん)の道