新編・伊勢物語 第六百四十三段 ごんぎつねの里(後編) 星原二郎第六百四十三段 ごんぎつねの里(後編) 『ごんぎつね』その悲しさは 読み終へし 幼心(をさなごころ)に 沁みて残りぬ 南吉の 名前にこもる 初恋の 思ひは生涯(ひとよ) え忘れ得ぬと 南吉の 見目麗しき 写真(うつしゑ)は 涙ぐましも 三十路を知らず と詠み、結核により二十九歳にして夭折せし 新美南吉の冥福を祈りけり。